「不孝で不安な80代 健康で幸せな80代」(野田秀樹著)について

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 老いは避けることはできないのですが、この本は、弱ってきた体や記憶力が落ちた脳でどうやって楽しく、幸せに過ごすか、について書かれた本です。そのポイントは、できなくなったことをあれこれ考えるよりも、出来ることや自分の長所、いいところを見るところにあるようです。「今できていることを少しでも残すことが、幸せな80代、90代を迎える第一歩となる。『今日できることを明日もできる』これを目指すことが、不安におそわれず、残りの人生を楽しみ、幸せに生きる秘訣だ」と著者は言います。たとえ寝たきりになったとしても、インターネットやSNSを使えば出来ることはたくさんあるでしょう。新しいことにも興味を持ちつずけること。
 50代の更年期にはじまり、60代の様々な不調、70代・80代になると脳も体もさらに衰えていき、感情のコントロールや動作が思いどうりにできない状態になるとのこと。そもそも、老化は20代から始まっていて、長い年月をかけて徐々に進行していくが、それとは別に、急激な衰えもあるとのこと。それは、「骨折」「脳梗塞・心筋梗塞」「がんの手術」「うつ」などで起こるとのこと。年を取ってからは、こんなこともできなくなった、あんなこともできなくなった、と悪い面ばかり見てしまうのではなく、出来ることを見て、今できることを減らさないことが大切のようです。
 認知症になったり、記憶力が低下しても、「イヤなこと」「どうでもいいこと」「つまらないこと」を忘れる力がついたとも考えることができるとのこと。脳の若返りにとても効果があるのが、やりたいことをやる、新しいことに挑戦する、この2つだそうです。その場合、楽しいかどうかを基準にすること。面白そうなこと、楽しいことは脳を活性化するが、つまらないことや我慢は脳の老化を進めてしまいます。あまり結果にこだわらず、やってみたいことはどんどんやってみるという姿勢が大切でしょう。できること、好きなことを続けながら、そのなかで少し興味のある新たなこと挑戦していけばいいのでしょう。
そして、なんでもいいので、突出したもの、得意なものをものを見つけることが大事です。「狭い世界だけですごい」で十分だと著者は言います。自分の売りになるもの、魅力になるものを探してそこを延ばしてゆく。自分の得意な分野で勝負する。そのことがまた、社会参加にもつながるのでしょう。