この本は老人向けに、よりよい生き方をするために書かれた本です。元気で自立し、消費者としても大きな存在となっているのが、今の高齢者層だと、著者は言います。一昔前には「老人」と言われていた年齢層の人たちも、いまは健康面でも、経済力でも、30~50代引けを取るものではない、と著者は言います。このような旧来型の老人とは違う年齢層の人々を、著者は、「シン・老人」とよんでいます。これからの高齢者は、行動基準を「楽しいかどうか」で決めたほうがいいようです。高齢者は、厳格に自分を律したり、周囲を気にしたりする必要はなく、我ままなくらいがちょうどよいとのこと。
 意欲をもって積極的に行動する、何かを面白がって前向きに楽しもうとすることで、心と体の老化のスピードも抑えられそうです。現代の心理学では、心は「外側から規定されている」という考え方にシフトしてきている。それに伴って、心理療法も「行動を変えれば心も変わってくる」という行動療法が、トレンドになってきたとのこと。「心の若さ」を保ちたいなら振る舞いや身なり、言動、生活習慣を含めた行動パターンを変えていけばいいとのこと。
 年を取るにつれて、次第に衰えていくことばかりが頭にあって、しりすぼみの人生しか考えていなかった。しかし、この本を読んで、年をとっても前を向いて生きていく方法が分かった。それには、いろいろなことに興味を持つこと、及び、感動を失わないことが大切だとおもわれる。食べ物や行動に制限をかけすぎないことも重要だと思われる。あまり、常識にとらわれないで生活することが“シン・老人”へとつながる道だろう。
 とかく、内向き、後ろ向きにとらえられがちな老後である。しかし、考え方やそれに伴って生き方を変えることで残りの人生も、かなり違ったものになってくるようだ。その象徴として、作者は“シン・老人”といっているのだと思う。この本を読むことによって、少なくとも、退屈でありふれた老後から脱出できるのではないだろうか。
この本は、老年期にさしかかり、やることがなくなった人や毎日をなんとなく過ごしている人
に読んでもらいたい本です。行動基準を「楽しいかどうか」に定め、厳格に自分を律したり周囲を気にしたりする必要はないのです。